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February 10, 2004

可動式

 家具をデザインする私にとって、夢が広がる言葉がある。それは「可動式」
という言葉だ。ああ、なんと甘美な言葉であろう。私には麻薬の言葉だ。そう、
テーブルの天板が大きくなったり、キャスター付の平台であったりと、アイデ
ア次第で家具はどの様な可動式でも可能、まさに夢のキーワードである。

 通常では不可能な家具の配置ができ、用途に応じた便利なもので、かつオリ
ジナル性の高い家具が作れるので、特に若いころの私は、可動式に傾倒する傾
向があった。

 しかし麻薬の様な言葉というからには、相応の見返りがある。大きく見て2点。
まず「可動部は壊れやすい!」これは痛切に感じる。動かなければまず壊れな
いモノが、まずここから壊れるという事が多い。
  もう1つは「用途に応じて」という言葉がくせ者なのだ。

 店舗の家具では、店内の配置替えが義務の様な面もあるので、「用途に応じ
て」動く家具というのも必要な場面も多いが、特に家の家具となると、「用途
に応じて」動かすことが極端に少ないと思う。しかもそれをマメに動かす人が
どれだけいるだろう?

 収納できるベッドやテーブル、最初は物珍しげに出し入れするだろうが、大
半の人は出しっぱなしになるだろう。しかもその可動部が壊れたりするので、
さらに始末の悪いものとなる。

 私は図面を描くとき不必要な可動式は、極力減らすようになった。耐久性・
デザイン・面白さの揃った家具がどんなに難しいかを知った瞬間である。家具
を買うときは、可動式には要注意。「そこから壊れるで〜」と家具自身が訴え
ていると言っていいだろう。

February 10, 2004 10:53 AM
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